Policy Lab. Shiga では2018年8月31日、「『県民の本音』を起点にした、これからの政策形成」と題した滋賀県知事あての提言を発表しました。同年11月5日には三日月大造滋賀県知事との意見交換を行い、12月19日には県庁で活動報告会を開きました。

先の発表のとおり、今後 Policy Lab. Shiga は、行政職員個々によるデザイン思考の実践を応援しあう活動へシフトしていきます。ただ個々で実践していくには、組織や制度も同時に変わっていくことが必要です。

そこで私たちは、庁内の制度を通じて部局宛に施策案を提出したり、提出先の庁内担当者に対しても提言・施策案に関する意見交換を試みるなど、水面下でのアクションを進めました。

その結果、次年度の滋賀県庁の事業として、次の取組みが行われることになりました。

滋賀県庁で次年度実施される、デザイン思考の活用に関する取組み

1. 研修の実施

政策研修センターにおける入庁2年目職員対象「近江地元学研修」の事前研修に「デザイン思考」の科目が導入されます。
また主事・技師級〜参事級対象「選択型研修スキルアップコース」に「デザイン思考」が新設されます。

2. 公募型タスクフォースの実施

高齢者の社会参加のあり方を検討する有識者会議「滋賀県高齢化対策審議会 人生100年ワクワク検討部会」の調査実務の一環で、県職員による公募型タスクフォースが実施されます。
この会議では、県内の高齢者の多様な生き方・価値観を探り、共感していくこと、そしていわゆる「人生100年時代」に向けた「ワクワク」するこれからの生き方について、多様な人々とともに描きあいます。そこでその検討に関する調査実務や共創の取組みを、人間中心デザインによって実践していきます。
(公募型タスクフォースについては、この事業のほかにも現在いくつかの部局担当者と協議中です)

私たちがこれらの取組みによって目指すのは「『県民の本音』を起点にした政策を、組織の垣根を越えて生み出しあえる、フラットな行政」です。今回行われる取組みはその一歩に過ぎませんが、一歩一歩の積み重ねによって滋賀県庁の組織や制度を変えていくことを目指します。


なお、その他提出した「政策形成に関するスケジュール・プロセスの透明化」に関する提案については、「施策構築方針や政策課題協議の結果をホームページに掲載し、公表している」という回答を得るに留まりました。

オープンな参加・協働を推進するうえでは、最上位の庁議結果を伝達して完結する上意下達のプロセスだけではなく、県庁内で行われている政策課題協議、プロジェクト等について、どのようなスケジュール・プロセスで進み、どのように政策として決まろうとしているのか、県職員のみならず多様な主体がアクセスできるようになっていることが重要です。周囲の動きを知ることによって自分たちに何ができるかを考えることができるからです。その観点では、庁内ですら参加のプロセスが共有できていないことが、たくさんあります。

行政経営方針の経営理念である「対話と共感、協働で繋ぐ県民主役の県政の実現のために」、この趣旨を踏まえた現状の検証と抜本的な再考が庁内で進んでいくよう、私たちも努力していきます。