
このレポートを書いている日から約50日前の3月2日。いつものように全員集合し、各チームの進捗を共有しあう定例会が開かれました。

この日は各チームごとにつくったペルソナの発表です。原則定例会はクローズドとしつつ、各チームがこれまでの調査でお世話になった人や Policy Lab. Shiga の活動に興味を持っていただいている方をオブザーバーとして招待しています。活動が継続していることもあり、オブザーバーとして覗きに来たいと声をかけてくださる方も増えてきました。
これまでの振り返り

もう一度ここまでを振り返りましょう。このプロジェクトでは「滋賀に暮らす○○さんの2030年をデザインする」という題のもと、2つのフェーズにわけて作業しています。2017年9月から2018年3月までの7ヶ月間は第1フェーズとして、各チームが見つめたい相手の人物像を捉え、その人が滋賀で暮らす上で抱えている問題を見つけてきました(解決策については現時点では「一切」議論せず、敢えてフェーズを分けて行うようにしています)。

時には県外に出て、対象になりそうな人の話を聴いたり、

時には対象になりそうな人の活動拠点にチームで出向いたり、

あーでもない、こーでもない、と試行錯誤を繰り返しながら、自分たちが見つめたい相手は誰なのか、その人はどのような価値観を滋賀で築いてきたのか、それぞれのチームが知ろうとしてきました。公務の時間的制約があるなかで、よくここまで頑張って来られたなぁと思います。

・・・と、半年頑張ってきたわけですが、各チームが見つめたい人物像は、どこまで描けたのでしょうか?
各チームの発表

各チーム前に出て、発表をしあいます。まず最初は、「家庭にも学校にも居場所がない子どものために第三の居場所を作ってあげられないか」という思いをもったメンバーによって結成されたチームです。今の子どもがどのようなしんどさを抱えているのかを、様々な現場へ足を運んでリサーチをしてきました。その上で描いたのが「藤澤守」くんというペルソナでした。
「最終的にスポットを当てたのは、しんどさを抱えてはいるが、不登校などという形で表面化していないが周囲にその問題を認識されていない子どもでした」

詳しい人物像はまた固まり次第このブログで公表しますが、なかなかリアルすぎて会場が暗い雰囲気に。と、オブザーバーからこんな意見が。
「みんなが暗い気持ちになるということは、この子が抱える問題は実質表面化しているんじゃないか。。。?自分がこの子の担任なら明らかに気になる。テストの提出物が出なくなるとか、そういうところで気づくものです」
このような状態なら、守くんのしんどさはどこかに伝わっているはず。でもそれをお互いが共有できていないのはどうしてなんでしょうか。その辺りをもう少し突き詰めてみると、何かインサイトが掴めそうな気がします。

こういった形で他チームからも発表→レビューを行いました。生まれたときから滋賀に住んでいて、地元独特の人間関係が苦手な「宮川拓也」さん。

県外出身で、滋賀の程よい田舎感、そして新興住宅地の付かず離れずな人間関係が気に入り、「移住」してきたという「美花」さん(名字はこの時点では未決定)。

両親が転勤族だったため「地元」というものを持たずに育ち、紆余曲折あって滋賀に住み始めた「高橋侑季」さん。
各チームには、それぞれ人物像を描く際に、名前と似顔絵を用意してもらいました。パーソナリティをよりイメージしやすくするために行っているのですが、この高橋侑季さんはどのような理由でこの名前・顔・表情になったのでしょうか?

「高橋という名字にしたのは、新学期に転校して自己紹介をするとき、「た」ならクラスの真ん中ぐらいだし、しかも自分が紹介した後にも反芻する時間がある、という理由から。侑季という名前も、引っ越し先によってはイントネーションが違いそうで、その違いを本人が認識しそうだからというのでつけました」
「表情も、ちょっと大人びてる感じ、どことなく一歩引いた感じ、悟っている感じを表したくて、眉毛を表現しました。目もくりっとしてる感じではなく、ちょっと落ち着いている感じ。髪型も幼気な少女感ではなく大人っぽく。でも冷たい性格ではないので、にこやかに。頑張りすぎないというのでなで肩に、脱力感がある感じ。何度か修正をしてこうなりました」
似顔絵はとにかく何でもよいのではなく、これくらいイメージできるように作ることが大事ですね。他のチームではここまで考えられていなかったようなので、少し考え直してみることになりました。
その後
このペルソナを作っている過程で、ある参加者からこんな声をもらいました。

Policy Lab. Shiga では自分たちが気になる相手の輪郭を捉え、「県民」というぼやけた言葉ではない、より具体的な人物としての「本音」に迫ることを重視しています。似顔絵や名前ができることで、たとえそれが架空であっても、リアルな調査に基づいていることから、愛着がわいたり「幸せになってもらいたい」と感じるようになるのかもしれません。

で、定例会終了後は、各チームごとにペルソナの練り直しを行いつつ、イラストについては県内在住でプロのイラストレーターの陽魚(やんとと)さんにお願いすることになりました。

陽魚さんには各チームに合流していただき、それぞれの話を聴きながら、リアルタイムにラフイメージを作り上げていきます。当初は30日以内に仕上げる予定でしたが、延びに延びて、結局4月末になりました。締切は大事ですが、こだわることも大事ですしね。

「どれがイメージに合ってそう?」
「うーん、こっちで!」
4チームがつくったペルソナの詳細は5月1日頃に発表します!お楽しみに。