12月23日(土)、Policy Lab. Shiga 今年最後の定例会を開催しました。今回は久々に県庁を離れ、米原にあるお店「隣町パーラー」を借りての開催です。


年末ということで忘年会も兼ねましょうということで、美味しい食べ物とお酒でこれまでの振り返り。会場が変わると会議の雰囲気も変わるものですね。


定例会では各チームの進捗を共有しあい、お互いの視点を擦り合わせているんですが、今回はここまでの調査全体の振り返りを、付箋に書いて共有しあうことにしました。


何枚でもいいので、自分なりのキーワードを書いていってください。

各チームごとの振り返り

チームごとに付箋を整理して、各チームメンバーからコメントをもらいました。

滋賀で働く人

多様性を受け入れる土壌

勤務スタイルは部署や人それぞれなのに、一律でノー残業デーを定めるなど、一つのルールに縛られているから多様な働き方が実現しないのかなと感じた。

田舎を去っていく若者たち

「家(地元)」の範囲

ある転勤族の人に聞いたら、その人にとって家というのは本当に「家」だけ。でも私にとっての家はもっと近所も含めた「字(あざ)」単位のものでイメージしていたんです。だから質問してもちぐはぐだった。また、私自身は地域に育てられたという感覚を持っていたんですけど、転勤族の人にとっては「地域とかに育てられた覚えはない。あくまで地域に住んでいる人に教えてもらった」と。その視点が自分にとっては新鮮だった。

地域コミュニティと若者の接点

子どもがいない若者には、地域と関わる必要・理由がない!?

インタビューをしていると、地域に関わっている人って子どもを介して繋がっている人が多いんですね。子どもってその地域に生きているから、子どもがいる人はその地域で繋がりを作りたいという思いが強くなる。逆にいうと子どもがいない若者たちというのは、地域に関わる必要性や理由というものを感じていないんじゃないか。何か大きな出来事があって初めて必要と思うんでしょうけど。

育った環境が与える影響大

地域の関わりが好きじゃない人は「あまり地域に自分のプライベートを知られたくない」とか、「自治会の掃除活動なんて委託したらいいよね」という反応なんですよね。一方で地域に育られたと感じている人は「都会に出ると地域の人が全然声をかけてくれない」と思うみたいで。

義務・負担ではなく「なんかやってみよう」で集まる

最近仕事で大学生と話す機会があるんですけど、自発的なものではなくて他人から強制されることに関してアレルギーを持っているところがある。その一方で自分で必要だと感じることにはすごく真面目にやる印象を受ける。

滋賀で育む子どもの居場所

みんな愛がほしい

引きこもりや不登校になってしんどい子どもたちと子ども食堂に来る子どもたちのニーズって違うのかなと思ってたんですけど、共通してみんな「愛情がほしい」ということを感じました。子ども食堂や児童支援施設に行った感想なんですけど、一見元気な子どもたちも周りの環境にはすごく敏感で、自分のことを認めてほしい、自分を愛してほしいという感情を持っている。でもこれは子どもに限らず、親のほうも地域の繋がりがなくなって孤立化してしまうことがあるみたいで。そうすると親自身も周りから愛情を受け取れない、そして子どもを愛する余裕もなくなるんじゃないかなと。

子どもにも親にも頼れる大人が必要

育児の相談など、頼れる存在がいないからこそ虐待やネグレクトになったりして、心を病んでしまう。世の中のあり方が変わってくるなかで、そういう居場所を失いやすくなっているんじゃないかなと思いました。

県外からの移住

共感と違和感

県外出身なので、滋賀県出身の人が何を考えているのか、滋賀県に来た人がどう思って生活しているのか、生の声を聴けたのは有難い経験だと思いました。また、話を聴いていて、共感できる部分もあれば違和感を持つ部分もあるし、同じ話を聴いていてもメンバーどうしで解釈が異なることもありました。

その後は休憩もはさみつつ、オブザーバー参加している人たちも交えた意見交換を行いました。

Policy Lab. Shiga は県職員有志が中心となってプロジェクトを進めていますが、そのフィードバックは県職員に限らずいろんな人たちから得られたほうがよいと思っていて、このような意見交換がまた新たな視点の発見や再編集につながります。

ここまでのこと、これからのこと

そして定例会終了後、他チームメンバーやオブザーバーらとの意見交換を踏まえて、各メンバーに改めて振り返りについてコメントを書いてもらいました。いくつかピックアップして紹介します。

「思い込み」から「相手の理解」へ

無意識的に「自分の想いや先入観」から入っていたインタビュー・行動観察が「自分が知らない世界観を持つ相手を理解する」にシフトできているのかな、と感じた。とにかく実践することで少しずつ、本当の意味での人間中心思考を学べている手応えがあった。

インタビューを実施する中で、自分にある認識と違う考えがあるとわかり、迷いもありましたが、刺激的で視野が広がったような気がします。何か形にしようと意識することも大切かもしれませんが、やはり初期視点やその人を思う気持ち、初心を忘れず、これからも続けていきたいと思いました。

まとめる上でプロジェクト開始時に立てていた仮説が裏切られたことが、新たな発見ということなので、そのポイントについてより深く考察したいです。

このプロジェクトでは当初自分たちの興味関心に沿って「こういう人っているんじゃないか」という想定をつくり、チームを作りました。でも実際に当事者と思しき人たちに会ってみると彼らは自分たちの興味関心とは違うところに軸を持っていたり、その人がもっと大事にしていることがわかったり。

初期視点はただの仮説に過ぎません。自分の思い込みを押し通すのではなく、相手への理解を深め、彼らが大切にしていることに寄り添うことによって、本当に「自分たちが見つめたい人」のインサイトに迫ることができるのではないかと思います。

異なるチームが集まって解釈を「再編集」する

各チームごとに、繋がる部分、繋がらない部分等様々ありますが、定例会の度に気づかされる部分が多いです。チームのメンバーだけだと視野が狭くなりがちですが、客観的な視点で見つめ直せる場だなあと改めて再認識しました。

メンバーによっては2つ以上のチームに参加している人もいるのですが、複数のチームの考えを理解することで、客観的に解釈を整理できるということもあります。各チームそれぞれ異なる調査をしているのにどこか似ている言葉が出てきたりする。実はそんな共通項から「自分たちが見つめたい人」が隠れてるんじゃないか、そんな気がしています。

現在5つのチームがありますが、必ずしも5つの答えを出す必要はありません。次回の定例会では現時点での「人物像」を各チームで描きあってみて、その違いや共通項を整理してみると良さそうですね。

チーム内の相互理解も

インタビューをして、自分の知らなかった考えを知って。それも表面的にではなくじっくり知って。その中で久々にメンバーの皆さんに会って。皆さんに対する見方も変わっていました。出会った当初の話し合い等では言ってはることがいまいちピンと来ないなと思うこともありました。けど、違う考えを持つ人の背景までしっかりと聞く経験をしたことで、最初の頃に皆さんが言ってたことや今皆さんが話していることが前よりずっとわかるようになりました。おもしろい!

調査は1人だけでなく、必ず複数人で行うようにしています。それは様々な視点で解釈しあうことによって「思い込み」を極力排除し、より客観的な解を導いていくという理由からなんですが、それによって「チームワーク」も生まれているようですね。

今のチームの活動は最長3月までとなりますが、このワークで生まれた繋がりが、今後も何か別の形で生きていくといいなぁと思いました。

そして3月までに「まとめる」ということ

プロジェクトを通じて、様々なインサイト、気付きはあるのですが、最終的にどうまとめていくのかこのタイミングで改めて確認する必要があると感じました。

一方、今後のことを考えるとスピード感が必要。一回一回の活動をより丁寧にしつつ、長期的な目でのスケジューリングが課題になると思った。

この第1フェーズ「問題発見」も折り返し地点に突入です。3月には各々が見つめたい人の人物像、またその人が滋賀に暮らすうえでの長期的な問題(インサイト)を、描いて発表するという約束があります。

メンバーの中にはもっとたくさんの調査をしたいという声もあるんですが、ずるずる引き摺ってもアウトプットになりませんし、1月から3月は収束を意識したワークを定例会を通じて行っていけたらと思います。

またそれらの様子はこのブログを通じてお知らせしていきますので、引き続き見守っていただけたら嬉しいです。